剧本角色
彩花
女,0岁
彩花
文十郎
男,0岁
文十郎
入間川外伝
彩花: 女性
文十郎: 侍
イルマヌシ様 川
电话铃
彩花が携帯で話し
彩花: うん! 着いたよ。今どこ? え? うち? …え? 別れるって、どうして? 無理? 何が? 私全然無理じゃないよ? 。そういうとこってどういうとこ? え? わかんない。思い当たること…(胸に手を当てる) 私がお侍好きだから? …ごめん。私何かしたんだね。いつもそうなんだ。気付かないうちに周りの人傷つけちゃうみたい。 …ひょっとして、あの時のこと、怒ってる? あっくんが寝てる間にちょんまげにしたこと。ごめん、もうしないから! 頭皮剃らないからぁ! …でも起きないあっくんもあっくんだよ… あ、あとスパイダーマンのDVDの中身を全部暴れん坊将軍に入れ替えてたことも謝るから。 …でもさ、あっくんも無責任だよ。だって東海道五十三次徒歩の旅、まだ途中だよ? まだ品川だよ。二次目だよ? あと五十二次残ってるよ? 武士に二言はないんじゃ あ、切れた。
彩花: あーあ。どこかに、イケメンで、優しくて、お侍で、強くて、筋の通った、お侍いないかなー。江戸時代じゃあるまいし、令和のこの時代にそんな人、いないよね。
文十郎: 時空の裂け目。バリバリバリ! ぬぁああ。川の中からビシャ!
文十郎はターミネーターのようにひざまずく。
彩花は恐る恐る近寄る。
彩花: あ、あの。
文十郎: お主!
彩花: はい!
文十郎: 拙者を召喚したのはお主でござるか?
彩花: あ、そうかも。はい。私です。
文十郎: 名をなんと申す。
彩花: 私? 彩花です。
文十郎: もしや、ここは入間川か。
彩花: あ、そうだよ。
文十郎: やはりそうか…
彩花: ねえ、あのもしかして。
文十郎: これは大変でござる。イルマヌシ様のお戯れでござる。
彩花: イルマヌシ?
文十郎: この川には神様が住んでおられる。ネギハヤミイルマヌシという。
彩花: どこかで聞いたことあるわね。
文十郎: ニギハヤミコハクヌシと違って大変なひねくれもので、願い事の逆を叶えよる。あと、気まぐれじゃ。お戯れが始まると、逆さ言葉で話さなければならぬ。それがこの土地の昔ながらの習わしじゃ。入間言葉とも言う。
彩花: じゃ、あなたがここにきたのは。
文十郎: お主、拙者がここに来る前に何か申したであろう?
彩花: 「江戸時代じゃあるまいし、お侍みたいな人いないよね」っていったの。は!
文十郎: それじゃ。つまり、「お侍がみたいな人いないよね」と言ったから、「お侍みたいなのがいる」みたいになったのじゃ。
彩花: あなた本物のお侍さんなの?
文十郎: まさしく。
彩花: 住所氏名年齢生年月日。
文十郎: 武蔵国川越藩藩士奥富文十郎。当年取って三十でござる。元禄二年睦月の七日生まれ。
彩花: 干支、星座、血液型
文十郎: 巳年の山羊座、A型じゃ。
彩花: うそー。すごーい。え? イルマヌシ様って、言ったことの逆を叶えるっていうことだよね。じゃあ、雨が降るって言ったら雨が止むの?
文十郎: イルマヌシ様の耳に届けばそうなるであろう。
彩花: …
文十郎: なぜ、彩花殿は悪い顔をしておるのだろう。
彩花: あなたは、私のことが嫌いになる!
イルマヌシ様「キター」の表情。鈴の音。間
文十郎: …なんじゃ。
彩花: あれ?(イルマヌシ様も「あれ?」)
文十郎: どうやら、今回は効かなかったようじゃな。
彩花: なんだ。イルマヌシ様っていい加減だなぁ。
文十郎: さあ、拙者を元の時代に戻すのじゃ。大事な用の最中でござる。
彩花: 何? 大事な用って。
文十郎: なんでもよかろう。とにかく急いでござる。
彩花: うーん、残念だけど仕方ないわね。えーっと、なんて言えばいいのかな。ずっとここに居て?
文十郎: そ、それでは拙者が消し飛んでしまう。もっと慎重に!
彩花: 消えないで!
文十郎: だから!
彩花: えー。結構むずくない? ちょっとあんたも考えてよ。
文十郎は彩花をじっと見つめてる。
彩花: なんか思いついた?
文十郎: え? あ、いや。 え?
彩花: 何よ。あんた帰りたくないの?
文十郎: あ、彩花殿がどうしてもというなら、もう少しここにいてもようござる…
彩花: おお? あれぇ? ねえ、文十郎。
彩花が顔を覗き込む。慌てて顔を背ける文十郎。
彩花: え? 何。文十郎は私のことが好きになったの? ねえ、私のいいところ10個言って! 1分以内!
文十郎: ひっ ひとみに吸い込まれそうでござる。
彩花: あと9個!
文十郎: なんか、こう、孔雀みたい。
彩花: 却下!
文十郎: う、うずらのごとき、
彩花: ボキャブラリー! なんで鳥に例えるのよ!
文十郎: も、申し訳ござらん。
彩花: 私は褒められて伸びるタイプなの! もう! どうして誰も私のこと好きになってくれないの!
文十郎: 拙者、筋金入りの朴念仁でござる。
彩花: もう! 文十郎なんか大っ嫌い!
鈴の音。
彩花: あ。
文十郎: ん?
彩花: まさか…
文十郎: もしや、大っ嫌い、ということは… 拙者のことが大好きになってしまったのでござるか?
彩花: な、何言ってんの! 別にあんたなんか好きなんかじゃないんだからね!
鈴の音。
彩花: ああ!(胸を押さえて崩れ落ちる)
文十郎: せ、拙者はどうすれば、
彩花: (チラリと見て)やだ、超かっこいい… ちょっと、こっち見ないで!
鈴の音。文十郎は真顔で見つめる。
文十郎: み、見ないでと言われると釘付けでござる…
彩花: いやあ! 来ないで!
鈴の音。文十郎は近づいていく。
文十郎: か、体が勝手に。
彩花: ちょっと、服がはだけてる! ちゃんと着て!
鈴の音。文十郎は服を脱ぎ始める。
文十郎: ぬあああああ! は、早く、早く、このままではすっぽんぽんでござる!
彩花: 全裸で、激しく、迫ってぇ!
鈴の音。文十郎は服を着て大人しく正座する。
二人 ふう。あっぶねえ。
彩花: …結局、文十郎の用ってなんだっけ。
文十郎: 文鳥に餌をやらねば。
彩花: それだけ?
文十郎: うむ。ピーちゃんが腹ペコでござる。
彩花: …なんかさ、文十郎、ずっとこっちの世界にいていいんじゃない?
イルマヌシ様決めポーズ。鈴の音。文十郎、パワーマイム。
文十郎: ぬあああ! 川にドボン! 時空の裂け目! ばくん! 彩花どのぉー!
彩花: ああー! 文十郎! …しまった。
間
彩花: …ありがとう。文十郎。私大切なことがわかったの。素直に言葉を伝えることって難しいんだって。貴方のおかげ。さようなら! 文十郎!
文十郎: バリバリバリ! ぬううう! ああ、彩花どの!
彩花: あ、おかえり!
鈴の音。
文十郎: あああああ! だからぁぁ!
彩花: …これが私と文十郎の出会いの話。二人の物語はまだまだ続きます。
イルマヌシ様は首を振りながら鈴を鳴らす。
文十郎: あああ、か、体が勝手に。
二人 どうも、ありがとうございました!
三人でお辞儀。
おしまい。